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私の専門は文化人類学の1分野の「医療人類学」です。「医療」を1つの文化と見立て、そこで展開される世界観を調査しています。
 2010年までは摂食障害の調査をシンガポールと日本で行いました。
 2011年からは、循環器疾患と漢方の外来で調査を始めました。診察の見学と患者さ及び担当医へのインタビューが中心のフィールドワークです。近年は特に、医師と患者をつなぐ物質としての処方薬に着目をし調査を進めています。

LinkIcon著作
LinkIconエトセトラ 連載とかラジオとか。
LinkIcon業績一覧


お知らせ

現在、医療現場ではたらく方の声を集めています。プライバシーには十分配慮いたします。ご関心がある方いらっしゃいましたら、ご連絡をいただければ光栄です。


『なぜふつうに食べられないのか―拒食と過食の文化人類学』(春秋社)

2015年1月22日発売。

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食べることは生きることである。
やせることはあまり食べないことである。
食べることは生きることとつながるのに、なぜあまり食べずにやせることが幸せに生きることと結びつくのだろう。
(第1部はじめにより)



拒食や過食を続ける方への4年間111時間にわたるインタビュー調査をもとに執筆したエスノグラフィーです。「なぜ彼女たちはふつうに食べられないのか」、「なぜ拒食や過食に陥ってしまうのか」を、「摂食障害の患者」という観点をとり払ったうえで、文化人類学の観点から記述しました。受け入れてもらおうと思う過程でふつうに食べられなくなった人たちの心に少しでも届きますように。

ご購入について:アマゾンで在庫切れでも、街の書店および他のネット書店にある場合が多いです。アマゾンに出品されている定価より高い中古をお買い求めにならぬようご注意ください。春秋社のサイトからも購入が可能です。

書評

Doticon_wht_Right.png社会科学者 上野千鶴子さん(熊本日日新聞2015年2月22日掲載)
Doticon_wht_Right.png精神科医 熊谷一朗さん(共同通信2015年3月上旬)

書籍紹介

LinkIcon摂食障害、社会的視点で迫る 安曇野出身の磯野さん研究を本に(信濃毎日新聞)
LinkIconなぜふつうに食べられないのか -「摂食障害」・「治す」を超えて(オンラインカウンセリングのcotree)

イベント・エッセイ

LinkIconなぜ私たちは食べるのか?―もしも体がなかったら (2015年7月4日発売 『考える人』 新潮社)
LinkIconNHK週刊ニュース深読み『"やせすぎ女性"過去最高 あなたの健康が危ない?』 (2015年6月27日ゲスト出演)
LinkIcon魅惑の菓子パン-禁じ/解かれる食の遊びと摂食障害 (2015年5月7日 『新潮』 新潮社 6月号)
LinkIconリングァ茶屋 Vol. 15 『なぜふつうに食べられないのか 拒食と過食の文化人類学』 出版記念&著者トークイベント (2015年3月3日 株式会社Lingua Guild主催)


=目次=

I.ふつうに食べられない人生

 1.視線・応答・逃避― 結城理央の場合   2.飲まない半生―長田奈々の場合

 3.拡縮する自己―荻原由佳の場合      4.外見がすべて-田辺敬子の場合

 5.誰が「やせ」を望むのか

II.医学的視座―摂食障害の治し方

 6.還元主義 「個人を見よ」という医学の教え  7.還元主義の検証-とりこぼされたもの

 8.カロリー地獄―澤拓美の場合         9.「おいしさ」のない食事―概念による体験の抑圧

10.ぶれる-武藤さゆりの場合          11.「家族モデル」の閉じられた救済

III.食体験準拠論

 12.フロー-過食の「楽しさ」           13・反転する日常-キャベツで過食ができない理由

終章 食の本質-私たちが食べるわけ

“Bon Bon Fatty Girl: A Qualitative Exploration of Weight-Bias in Singapore”

fat20studies20reader20front20cover.jpg1990年、シンガポール。子供の肥満が突如増加。シンガポール政府がとった対策は?】
シンガポールは、1960年代から目覚ましい経済成長を遂げ、「アジアの小竜」とまで呼ばれた東南アジアの国家です。経済成長伴い、政府が問題視したのが子供の肥満の増加でした。政府は国家主導で、"Trim and Fit Program"と呼ばれる子供の肥満予防プログラムを開始し、太った子供を選別し、強制的に学校で休み時間や学校の開始前、放課後に運動をさせるよう各学校に支持をしました。このプログラム開始から10年後、子供の肥満の割合は増加したのですが、プログラムから抜けたいがために無理なダイエットをし、中には摂食障害になってしまう子供も出てきました。これは、そのプログラに参加した生徒の語りを中心に、太っていることに対する偏見が若者の心をどのように傷つけているかを描いた論文です。(p.127-p.139 2009年11月 The Fat Studies Reader. New York University Press掲載)

“The Emergence of Body Image Disturbance in Singapore”

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【「太ったね」と言われると傷つく人がいるのはなぜだろう?】

DissonantDisabilities_frontcover.jpg「太った?」と言われると少しいやな気持がしませんか?でも、なぜいやな気持になるでしょう。この言葉は、体型の変化についての指摘にすぎません。誰も「太ったあなたは、だらしない人間だ」とか、「太ったあなたは、醜い人間だ」と言われているわけではないのです。しかし、私達は、「太った?」と言われると、「醜い」とか「だらしない」とかいった言葉を自分に結び付けいやな気持になるのです。
 この論文の主人公は、シンガポールで仕事をするフランス人の女性です。彼女は新天地での仕事を求めてシンガポールにやってきたのですが、太ったことを周りの友人から頻繁に指摘され、それがきっかけで過激なダイエットを始め、過食をするようになってしまいました。彼女はシンガポール人が自分の体型について軽々しく指摘をすることについての怒りをあらわにします。なぜシンガポールでは、体型に関する指摘が頻繁に行われたのでしょうか?なぜ彼女はそれほどまでに傷ついたのでしょうか?
 1人の若い女性が体験した文化の擦れ違いを足掛かりに、当時のシンガポールの社会情勢を分析した論文です。(p.65-p.74 2008年4月Dissonant Disabilities: Women with Chronic Illnesses Theorize Their Lives. CSPI/Women's Press内掲載)

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『医療という不思議な文化』 

生活リハビリ情報誌『ブリコラージュ』に連載しています。

imgp1225.jpg生きている限り私たちは必ずどこかで医療とかかわりを持ちます。ところが医療現場は文化人類学者から見ると不思議だらけの世界です。この連載では、現場の医療者の声をベースに、そんな不思議を一般の人向けにやさしく解説しています。第1回分のみ閲覧が可能です。






<これまでの連載>
【1】医療という不思議な空間 閲覧はこちらからLinkIcon
【2】「いのち」への責任―高齢者への身体抑制を行った、看護師の体験から考える
【3】「いのち」への責任②―心ある医療者はなぜ高齢者を縛れたのか?
【4】よい医療者は泣かない医療者?―死に際して医療者が泣けない理由を考える
【5】よい医療者は泣かない医療者?―隠喩から考える、死に際して医療者が泣けない理由
【6】「治す」ことの諸相①―がん治療を専門とする腫瘍内科医の場合
【7】「治す」ことの諸相②―高齢者病棟ではたらく理学療法士の場合
【8】「治す」ことの諸相③―病気と自助
【9】こんなのを理学療法士の仕事と思われては困る―病いと疾患から読み解く本連載に対する批判
【10】人間とは何か?―『役に立たない学問』に秘められた力


人間理解プロジェクト『ぶっとばせ!コモンセンス』 

10413306_571134609667162_256832872283082723_n.jpg2014年4月から10月にかけて中央FMにて、文化人類学のラジオ番組を担当していました。文化人類学の初歩的な知識を30回にわたり面白おかしく、ときに大真面目に解説しています。

バックナンバーは番組のフェイスブックページから聴けますよ!




「言うことを聞かない患者」、「融通の利かない医療者」-医療現場の文化人類学-

医療現場でのインタビューをもとに、医療者と患者がどのようにすれ違ってしまうのかを描きました。
こちらから読めます。



ワークショップ&シンポジウム

tumblr_n0tbblPBlA1rckvsyo1_1280.jpg ダイエットと文化.jpg

一般の人に向けて行ったイベントやシンポジウムについてはこちらをご覧ください。



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学位論文

Isono, M. (2003.3). Thinness in Asia: Eating Disorders in Singapore as see through Anthropological Eyes. Department of Anthropology. Corvallis, Oregon State University. M.A.(Applied Anthropology)

磯野真穂 (2010.5). 医療の語らなかった摂食障害―摂食障害の食の文化人類学的探究. 早稲田大学文学研究科. 東京, 早稲田大学. 博士(文学).

著書

Isono, M. (2008.4). The Emergence of Body Image Disturbance in Singapore. Dissonant Disabilities: Women with Chronic Illnesses Theorize Their Lives. M. Owen and D. Driedger. Toronto, CSPI/Women’s Press: 65-74.

Isono, M., P. Watkins, et al. (2009.11). Bon Bon Fatty Girl. Fat Studies Reader. S. Sondra and R. Esther. New York, New York University Press:127-139.

論文

磯野真穂 (2006.5). "The Maladies Resulting from the Undefined Concept of Culture: A Singaporean National Weight Reduction Program for School Children." 『早稲田大学文化人類学年報』 2: 92-102.

磯野真穂 (2007.9). "ハビトゥスとミクロコンテクストから見た摂食障害." 『こころと文化』7(2): 157-164. 多文化間精神医学会

磯野真穂 (2009.9). "摂食障害における「食感情」と「食観」に関する文化人類学的考察." 『こころと文化』 8(2): 146-153.多文化間精神医学会.

Muehleisen, V. and M. Isono (2009.11). "Antonymous adjectives in Japanese discourse." Journal of Pragmatics 41(11): 2185-2203, Elsevier B.V.

磯野真穂 (2010.12). "摂食障害の機序モデルの内面化はいかに行われるか." 『早稲田大学文化人類学年報』 5: 31-42.早稲田大学文学学術院

磯野真穂 and 上田みどり (2012.1). 『服薬ノンアドヒランスにおける医療人類学的考察―外来診察陪席の質的調査を通して―』. 榊原記念病院臨床研究助成報告書. 榊原記念病院.

磯野真穂 (2012.7). "精神科医療と文化―文化相対主義のススメ." 『精神科看護』 39(7): 15-21.神科看護出版.

磯野真穂 (2013.8).「摂食障害において親を発症原因とすることの意義と弊害一拒食症の1事例に対する「物語」の視点を用いた質的解析-」 『心身医学』 53(9):849-856 、心身医学会.

磯野真穂、上田みどり、福田秀彦、住吉徹哉 「降圧薬に対する患者の理解の質的考察 ―循環器外来と漢方外来を訪れる患者の降圧薬についての語りの質的解析を通して―」 『臨床薬理』 45(3), 83-88, 2014

新聞記事

磯野真穂 (2013.1). 「言うことを聞かない患者」、「融通の利かない医療者」-医療現場の文化人類学- Yomiuri Online, 読売新聞.
(雑誌記事)

雑誌連載(継続中)

磯野真穂.「医療という不思議な文化」『ブリコラージュ』,七々舎.

翻訳

磯野真穂 (2007.3). ラオス人民共和国における文化遺産のエンハンスメント. ラオス南部: 文化的景観と記憶の探求. 東京, 雄山閣: 56-77.

学会発表

Isono, M. (2004.4). Being healthy as a sales gimmick. International Conference on Eating Disorders. Orland, FL, Academy for Eating Disorders.

磯野真穂 (2005.10). 周縁からの提言-シンガポール政府肥満解消プログラムの功罪. 早稲田大学21世紀COEプログラム関連シンポジウム:ラオスとその周辺における遺産・モノ・生活、東京. 東京, 早稲田大学.

磯野真穂 (2005.11). 身体の文化人類学―シンガポール学童肥満予防プログラム(The Trim and Fit Programme)を通じて見える、応用文化人類学の可能性―. 第135回日本体力医学会関東地方会. 東京, 日本体力医学会.

Isono, M. (2006.11). The Emergence of Body Image Disturbance in Singapore. American Anthropological Association the 105th Annual Meeting. San Jose, CA, American Anthropological Association.

磯野真穂 (2007.1). シンガポールの摂食障害における社会・文化要因の影響. 早稲田大学文化人類学会第8回総会. 東京.


磯野真穂 (2008.1). 苦悩と身体感覚. 第15回多文化間精神医学会. 東京, 多文化間精神医学会.

磯野真穂 (2008.9). 「おいしさ」と他者―摂食障害における身体感覚/感情の医療人類学的考察. 第4回日本摂食障害学会学術集会. 東京、日本摂食障害学会

磯野真穂 (2008.10). 摂食障害と「おいしさ」(シンポジウム). 第27回信州精神神経学会. 長野, 信州精神神経学会.

磯野真穂 (2009.3). 過食症患者の「食」における「内的な時間」の流れ方―過食症患者への「食」に関する半構造的インタビューを通じて. 第16回多文化間精神医学会. 東京, 多文化間精神医学会.

Isono, M. (2010.6.). Eating Disorders and the De-socialization of Bodily Sensation. The 14th Asian Studies Conference Japan. 東京, Asian Studies Conference Japan.

Isono, M. (2010.11) Is anorexia a ticket to gain parental love?: problems of the parental discourse of eating disorders in Japan. the 109th Annual Meeting of the American Anthropological Association. New Orleans, American Anthropological Association

Isono, M. (2011.6). Seeing the Anorexic Body as the Center of Practicing Discourse: A Case Study of an Anorexic Woman and Japanese Discourses of Eating Disorders. The 15th Asian Studies Conference Japan. 東京. Asian Studies Conference Japan.

磯野真穂 (2011.9). 医療分野における質的研究の批判的考察-文化人類学の視点から- 第18回多文化間精神医学会学術総会. 東京.多文化間精神医学会

Isono, M. and H. Fukuda (2011.11). Am I Sick Because of My Prescribed Medicines?-Understanding Patients’ :Doubts Regarding Medication through Medical Consultations in Japan. American Anthropological Association 108th Annual Meeting. . Montreal, American Anthropological Association.

磯野真穂, 上田みどり, et al. (2012.3). 服薬ノンアドヒアランスにおける医療人類学的考察-循環器外来、漢方外来での比較検討. 第76回日本循環器学会学術集会. 福岡. 2012.3.16-2012.3.18

磯野真穂 (2012.10). 医療のための人類学か?医療についての人類学か?―循環器診療でのフィールドワークを踏まえた、文化人類学の意義と課題. 第807京都立大学・首都大学東京社会人類学研究会. 東京, 東京都立大学・首都大学東京社会人類学研究会.

磯野真穂 (2013.2). 「診察現場の不確実な身体―循環器疾患のフィールドワークを通じて」『慢性疾患における「不確実性」の人類学的な議論に向けて』. 第90回現代人類学研究会. 碇陽子. 東京, 現代人類学研究会.

磯野真穂、上田みどり (2013.5.18) 「降圧剤に対する服薬ノンアドヒアランスの文化人類学的考察―降圧剤についての患者の語りの質的考察について」. 公益財団法人日本心臓血圧研究振興会付属榊原記念病院研究助成平成24年度研究発表会. 東京, 公益財団法人日本心臓血圧研究振興会付属榊原記念病院.

磯野真穂、福田秀彦(2013.6) 「患者にとっての漢方の意義とは?―漢方外来を訪れる患者の語りの文化人類学的考察」.第64回日本東洋医学会学術総会.日本東洋医学会.鹿児島.2013.5.31-2013.6.2

磯野真穂.(2013.6) 「循環器疾患における不確実な『個』の身体―心房細動に罹患した患者の語りを通して」日本文化人類学会第47回研究大会.日本文化人類学会.東京.2013年6月8日

Isono, M (2013.6) (Commentator) “Resistance of Japanese Women to Normative Feminine Bodies” The 17th Asian Studies Conference Japan. Tokyo. Asian Studies Conference Japan. June 29th. 2013

磯野真穂、上田みどり (2013.7) 「抗凝固療法を受ける心房細動患者の語りについての文化人類学的考察」日本アプライド・セラピューティクス学会第4回学術大会.日本アプライド・セラピューティクス学会.東京.2013年7月27・28日

Isono, Maho (2014.6) Medical anthropology of medicine or medical anthropology for medicine?: Challenges of a medical anthropologist collaborating with medical professionals of cardiovascular diseases. IUAES Conference 2014. The International Union of Anthropological and Ethnological Sciences. May 18th, 2014

磯野真穂(2014.9) [指定討論者] 「集うことの意味―医療が進歩した現代にあって自助グループが消えないわけとは?」『自助グループ活動の現状と今後の課題』第18回日本摂食障害学会学術集会.日本摂食障害学会.大阪2014年9月13日

磯野真穂、田辺けい子、水嵜知子 「文化人類学からみた看護領域質的研究の特殊性―医療現場における人間存在の描写と探求はいかに可能か?-」第34回看護科学学会学術集会.日本看護科学学会 2014年11月29日・30日

獲得研究費

トヨタ財団研究助成 『診察現場の臨床人類学-生物医療の実践における心身二元論の具現化の有無と、その具体的内容について-』 2010年10月~2012年12月

文部省科学研究費若手研究(B) 『循環器疾患と漢方外来の医療人類学―診察現場において病気はいかに意味づけられるのか』 2011年4月~2013年3月

文部省科学研究費若手研究(A) 『現代の医療現場における「確かさ」決定のプロセスに関する文化人類学的考察』 2013年4月~2016年3月


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